秋田日本語教育研究会「冬の会」を以下の通り開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております!
日時:2024年2月23日(金)14:00―16:00
場所:オンライン(ZOOM)
参加費:無料
*ZoomIDは22日夕方ごろにお送りいたします。
プログラム
14:00 開会の挨拶
14:05 発表1
「トルコの大学での日本語会話授業の実践報告と課題および改善策」土居菜津子(チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学)
14:30 発表2
「外国人従業員が半数を超える企業の課題-山形県河北町の企業と行政への調査から」髙橋伴和(国際教養大学専門職大学院日本語教育実践領域)
14:55 発表3
「秋田市内のショッピングモールの案内表示に関する実態調査―外国人留学生とのフィールドワークと運営者へのインタビューの結果から―」日吉海帆(国際教養大学専門職大学院日本語教育実践領域)
15:20 発表4
「空間的な移動を表す「Vテクル」の非規範的用法について」菊田茉優、川田沙耶
(国際教養大学専門職大学院 グローバル・コミュニケーション実践研究科 日本語教育実践領域)
15:45 諸連絡
16:00 閉会
お申し込みは以下のフォームからお願いいたします(締め切り2月23日(木)15時)
https://forms.gle/Uapv2d5y42JAzsc18
*発表*
発表1 トルコの大学での日本語会話授業の実践報告と課題および改善策
発表者:土居菜津子
所属:チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学 教育学部日本語教育学科(トルコ)
キーワード:会話授業、授業実践、マンネリ化、フリートーク、フィードバック
要旨:
トルコの大学の日本語学習者25名に対して、2023年秋学期に対面でのフリートーク形式の会話授業を実施した。授業内外で日本語で話す機会が少ないと学生から聞いていたこともあり、日本語で自由に会話する場を提供したいと考えた。授業は、オノマトペや相づちなどの表現の導入、会話テーマの発表、その日に達成したい目標の書き込み、会話セッション(15分×2回)、振り返り、という流れで行った。コース終了時のアンケートでは高評価を多く得られたが、授業のマンネリ化や個別フィードバックの不足、学生に会話の内容よりも発話に意識を向けさせる難しさなど、多くの疑問や課題が残った。本発表では、このような授業の実践報告をするとともに、授業実践から明らかになった課題と改善策について検討する。
発表2 外国人従業員が半数を超える企業の課題-山形県河北町の企業と行政への調査から-
発表者:髙橋伴和
所属:国際教養大学専門職大学院日本語教育実践領域
キーワード:外国人労働者、技能実習生、人口減少、雇用課題、多文化共生
要旨:
近年、労働力不足が社会問題となっており、外国人労働者確保が注目されている。
本発表では同様の問題を抱える山形県河北町の企業経営者及び河北町役場に実施した聞き取り・アンケート調査の結果を報告する。人口17,000人の小さな町ではあるが、この企業の生産現場では、その半数を外国人労働者に頼っている。 外国人労働者には作業に必要な最低限の日本語教育に留まり、社会参画に必要な支援ができておらず、継続した労働力確保に不安を感じている。河北町では人口減少の課題は認識しているものの、外国人に特化した対策は考えていないことが判明した。 これらの結果から両者の課題を集約する仲介者の不在が課題であることが見えてきた。
発表3 秋田市内のショッピングモールの案内表示に関する実態調査―外国人留学生とのフィールドワークと運営者へのインタビューの結果から―
発表者:日吉海帆
所属:国際教養大学専門職大学院日本語教育実践領域
キーワード:言語景観、案内表示、外国人非集住地域、秋田市
要旨:
本発表では、秋田市内のショッピングモールの案内表示に関する、国際教養大学の留学生とのフィールドワーク及び運営者へインタビューした結果を報告する。フィールドワークでは、外国人留学生の視点から案内表示のわかりやすさについて調査した。その結果、外国人留学生はイラストや文字の色などの非言語情報を元に案内表示を理解しており、文字情報が多く、過度な敬語使用がなされた案内表示にわかりにくさを感じていることが明らかになった。フィールドワークの結果を元に行ったショッピングモール運営者へのインタビューでは、来館者のボリューム層に合わせて言語表示をしており、現時点で積極的な多言語表示はしない方向性であることが明らかになった。
発表4 空間的な移動を表す「Vテクル」の非規範的用法について
発表者:菊田茉優、川田沙耶
所属:国際教養大学専門職大学院 グローバル・コミュニケーション実践研究科
日本語教育実践領域
キーワード:補助動詞 来る Vテクル
要旨:
本研究では日本語初級文法「Vテクル」の非規範的用法を調査した。文型「Vテクル」の規範的用法は「人やモノ・事態などが,話し手のソトの領域からウチの領域に移動することを,話し手の立場で捉えて言う」補助動詞である。そのため、日本語教科書では「Ⅴしてから戻ってくる」と説明しているものが多い。しかし、実際にはその場に戻ってこない場合でも「Vテクル」が産出されていることがある。筆者らは「Vテクル」の非規範的用法は話し手と聞き手の関係性が親密な時や共通のコミュニティに属している時に用いられているのではないかという仮説を立て、使用実態のアンケート調査を行った。調査を経て、明確な使用基準は明らかにならなかったものの、親しくない人より親しい人に対しての方が使用されやすい傾向にあることが分かった。